Fender
1966 Stratocaster
"CANDY APPLE RED"
Fender
1966 Stratocaster
"CANDY APPLE RED"
1950年代より存在したフェンダー社のカスタムカラーは、主にショーやショップでのディスプレイ、クライアント・アーティストからのスペシャルオーダーとしてスタートしました。その為、50年代のカラーバリエーションやネーミングは”レッド”や、”ゴールド”等シンプルな物でしたが、当時の然程のオーダーはブラックやブロンドが主流だったようです。それらが初めて一般ユーザー向けのカタログに掲載されたのが1956年で、その年のディーラーに配布されたプライスリストでは、「カラーオプションは5%アップで、デュポンDucoカラーの中よりプレイヤーの好みの色を選択可能」と記載されていました。そのデュポン社製の塗料を使用したフェンダー社のカスタムカラーペイントは、その後の1960年代以降も採用される事となります。
デュポン社とは、アメリカを代表する化学メーカーで、塗料部門では主にアメリカンカー全般の塗料で使用されていました。中でもGM系のシェビーやキャデラックを始めフォード等の主要カーカンパニーが、いち早く時代のトレンドを反映させカラーバリエーションを展開していました。
フェンダー社のカスタムカラーで、その顔料に使われていたのがデュポン社の”デュコシリーズ”で、アクリル粉を混ぜたルーサイト塗料を使用したのが特徴でした。それらは現在のメタリックペイントフィニッシュとは大きく工程が異なり、当時はブラスやアルミの粉末をカラーに調合した物が使われ、ボディーに吹き付けられた塗料が硬化するまでの間に材質の重さや違いによりメタリック層とカラー層に分離させる事で、より滑らかでキャラクターのあるメタリックカラーが生み出されました。しかし塗装のムラや発色の安定の為、2~5回ほどスプレーされている物が多く、カスタムカラーのフェンダービンテージギターは、それらのカラー層の塗料の厚みや、弾き込まれる事によるボディーのペイント面の擦れや経年劣化のコンディション等で同年代ので同じカスタムカラーであっても、またサウンドが1本1本異なる事などは大変興味深く、それらもビンテージストラトの楽しみ方であると思います。
また当時カスタムカラーのバリエーションが増えた背景には、ウエストコーストのサザンカリフォルニアに登場したフェンダー社ならではのロケーションも大いに関係しています。1950年代後半よりカリフォルニアで流行り出したサーフミュージックの影響は60年代半ばまで全米を揺るがすムーブメントとなり、そのサウンディングとスタイルは正にフェンダーギターがあってこそ生まれた物でした。それらのカルチャーは音楽以外にもサーフィンやファッション、モーターサイクル、カスタムカーと言った互いにリンクし合うサブカルチャーとなり、大きくアメリカが発展していく中で、その時代背景を色濃く反映させて生まれのがフェンダーカスタムカラーでした。
それらは1961年に15色のカラーバリエーションをリリースしましたが、時代の移り変わりと共に、65年にはCBS体制に入るとカスタムカラーのラインナップは入れ替わり、68年からは塗料がラッカーよりポリエステルへと移行をし、CBS期の経営体制の変化もあり、小ロッドのカスタムカラーオーダーには対応出来なくなった結果、次第にラインナップから減って行く事となりました。
その多くがデュポン社の塗料と車のカラーリングナンバーを元に選ばれた物でしたが、イレギュラーを除きフェンダー社が独自に開発をしたのが、フェスタレッドとこちらのキャンディーアップルレッドメタリックでした。
こちらのカラーは1963年から登場し下地はシルバーのペイントが然程ですが、こちらはゴールド下地となっており、丁寧に扱われて来たであろう以前のオーナーのプレイスタイルにより、そのサフェーサーのゴールドを垣間見る事が出来ます。
こちらは66年式と言う事で、通常スリムで薄めのシェイプのネックが一般的ですが、こちらはナット幅は41.2mm、12F パーロイドポジションマーク部で5.08mmのワイド、グリップも通常の66年仕様より多少肉付きのあるシェイプとなっており、ファーストイヤーのラージヘッドは厚みが増しヘッドの先端まで音が伝導している独特の感覚を味わえ、ファンが多い事も頷けます。ネックはストレートで、ミディアムサイズのフレットに打ち直し、擦り合わせが行われていますので、非常に弾きやすく生音でも良く鳴ってくれます。ネック裏に僅かなオーバーラッカーがありますが、長年のプレイによりそれらも自然に剥がれて違和感なくプレイヤーの意を表し手を滑らせプレイする事が可能です。
また、こちらの66年のキャンディーアップルレッドの特徴として、アメリカのオーナー時代等に、よほどドライな環境にあったのか、ボディー全体にウェザークラックが入り、その深みのあるレッドカラーとクラックの調和は見る物の心を奪います。前途の様にペイントの塗膜が厚く重ねられたメタリックカスタムカラーでは珍しく、これらはサウンドに現れている様で開放感のあるトーンを奏でてくれます。
今回64年のオリジナルのスーパーリバーブにストレートでプラグインし試奏を行いました。ボリューム2.5辺りのクリーンサウンドは粒の揃った物で、締まりの良い低音、ミドルとサウンドを互いに潰し合わないコードトーンや切れの良いカッティングサウンド、ボリューム4-6.5周辺のドライブ時は、その芯を中心にサウンドにしっかりと肉付きがされ、サスティーンも良く、ラージヘッドならではのネックの先まで音の伝導をしっかりとサウンドへとフィードバックさせてくれます。フロントピックアップは、しっかりとミドルをキープしストレートに頼りがいのあるサウンド、リアピックアップの抜けも抜群で、5点スイッチに変更されている事もあり、ハーフトーンは多彩なキャラクターのサウンドを作れます。
ビンテージストラトファンであれば、是非一度は手にして頂きたいカスタムカラー、深みのあるキャンディーアップルレッドは光の角度により無数に走るウェザークラックが浮かび上がり、その下地に現れるゴールドのサフェーサー。まるでアート作品を眺めている様なうっとりとする美しさは、非常に所有する満足感も高く、そして奏でられるサウンドも素晴らしいカスタムカラーストラトキャスターです。
・ネックデイト 13 SEP 66 B
・Weight 3.63 Kg
・ピックアップデイト F 11-15-66 / M 11-14-66 / R 11-14-66
・ポットデイト 304-6606
・オリジナル レッドダイム コンデンサ
・シリアルナンバー 17166X
・ブラックトーレックスケース
・5点スイッチへ変更
・アーム、トレモロスプリングカバー付属無し
PRICE : ¥ 3,950,000- tax in
送料別途 *送料について
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