1958年ストラトキャスター・オリジナルサンバーストのご紹介です。
58年式は特徴的なスペックが多くビンテージストラトファンの方々の中でも、一度は所有してみたいリストの1本に上がるのではないでしょうか。
 
こちらの58'も、そのスペックを網羅した物ですが、特徴的なのが通常の58`モデルに比べ、ネックのグリップ感が良く太目のネックシェイプとなってる点です。今回インスペクションの為ネックを取り外す際もボディーとの密着度が高く、なかなかネックが外れない様な状態でした。それがサウンドに現れ、生音でも乾いたアルダーボディーを通して弦のバブレーションが体に直に伝わり、アンプへプラグインした際にもメイプルワンピースネック特有の煌びやかな50'sトーンを余すなく事無く堪能する事が出来ます。
 
今回は試奏の際に59年のツイードプリンストンアンプ、66年のデラックスリバーブでデモを行いましたが、伸びやかなサスティーンは、枯れたブラックボビン＋太目のネックより織り成されるサウンドはパンチがあり同年代の50's ストラトと比べてもファットサウンドの印象を持ったストラトです。
 
ネックシェイプに関しましては、通常58年前期までは57年より引き継がれる"V"シェイプが多く、58年中期より"V"より薄め"U" または"C"シェイプとなるのが通例ですが、こちらは"C"シェイプに近いグリップ感のあるレア仕様となっています。
 
フレットは過去に打ち直しがされており残量は6割ほどですがミディアムジャンフレットの為、日常のプレイでも特に支障は感じません。
 
その他、58年の特徴的なスペックとしては、58年中期より、それまでの2トーンより3カラートーンのサンバーストとなり、鮮やかなレッドが吹かれました。また経年で外周部のブラックが"チョコレートブラウン"の様に経年で褪色するのが、この時期のオリジナルサンバーストカラーの特徴でですが、これは、当時のペイント方法でブラックを先に吹いてからレッドを入れた事による所以がありました。また59年中期より、61年前期に掛けてはデュポン社の塗料へ変更となり、その品質の問題から経年により赤みが抜け"2トーン"となっている個体が多く、このブラウン掛かったブラックと鮮やかな赤みのサンバーストの仕様は58年中期から59年中期までの僅か1年程のレア仕様となります。
 
その他にも、59年に比べ浅めのネックポケットや、ボディー加工時の「ネイルホール」が全部で3か所となりネック中央付近に移動したホール。テンプレート治具穴がエンド側ストラップ位置に移動。スペーサー無しのストリングガイド。それまでと比べるとやや狭くなったコンターの角度、クルーソンペグは、58年中期からの1ライン、裏面がDより始まるパテントナンバーで、ネックヘッドチューナーの４弦ペグポスト部にある治具穴等、随所に58年のみのスペックを確認する事が出来ます。